近年高齢化社会をむかえて、健康寿命の延長が大きな課題となり、その中でもアンチエイジング美容が大きなターゲットになっています。すなわち女性が化粧や美容食品によりいつまでも美しくあることは、社会を活性化し、元気にする原動力になっています。皮膚美容に最も関連する皮膚の3大エイジング症状は乾燥、シミ、シワタルミです、これらの強力な環境悪化因子は紫外線です。
したがってこれらのアンチエイジング作用を持つ化粧品や食品素材が求められています。しかしながら新規化学物質としてのこれらアンチエイジング化粧品素材の開発は動物安全性試験が困難なため、大変難しく、安全性が確立している天然物素材の利用が近年重要になってきています。
マイコスポリン様アミノ酸(MAAs)は海藻、微細藻類等の藻類、海産物等が生産するシクロヘイサノン構造を有するアミノ酸で、最もよく知られている効果は紫外線(UVA)吸収能で、すでに知られている有機UVAサンスクリーン剤であるParsolR 1789 (εmolar 40000) やMexorylR SX (εmolar 45000)とほぼ同等です。
アメリカハワイ州における生分解性の悪い一部の有機サンスクリーンの海岸での使用が禁止され、カリフォルニア州でも同様な規制が始まろうとしています。
このような状況から藻由来のマイコスポリン様アミノ酸のサンスクリーン剤としての利用に期待がたかまっています。
また藻類由来の代表的抗酸化剤であるアスタキサンチンと同様、マイコスポリン様アミノ酸は紫外線暴露細胞での抗酸化作用やアポトーシス抑制効果等の機能が報告され始め、また細胞レベルですがヒアルロン酸の分泌促進作用、コラーゲンやエラスチン合成促進作用などが発見され皮膚アンチエイジング剤としての利用にも期待が高まっています。
しかし同様な藻類由来抗酸化剤であるアスタキサンチンと比べると、アンチエイジング効果に結びつくマイコスポリン様アミノ酸の機能性に関する報告ははるかに少ないのが現状です。
そこで、学術集会をはじめとしたマイコスポリン様アミノ酸の研究者の交流を通して、マイコスポリン様アミノ酸の研究の進展に寄与するとともに、その成果の正しい啓蒙活動のために、ここにMAAs研究会を設立する運びとなりました。
本研究会は当面の間は研究助成のみを行い、研究助成により研究実績が蓄積したのちに成果発表会をclosedもしくは公開で行う予定です。